ラグビーワールドカップ

日本が・世界が沸いた【ラグビーワールドカップ】が閉幕して、早くも10日が経った。

私はこれまで、ラグビーはおろか、スポーツ自体に興味も縁もなく生きてきた。
あの勝ち負けがハッキリしている様子が残酷に思えるし、観ていて、例えば選手の失敗に対して「せっかく応援しているのに負けてしまう」というよりは「負けてしまう“と思われてしまうことがツラそう”」という共感性羞恥が強く作用する。
なので、興味がないどころか むしろ苦手だったと言った方が正確で、やはり私は“文化部”体質なのだなと…。

そんな私が、ワールドカップ開催期間も中盤に差し掛かった頃には、すっかりラグビーに夢中になっていた。まさに にわかファンというやつですが…笑 それに至るには、文化部な私を惹きこむ幾つかの要素があった。

1つ目

私は神社仏閣好きからの獅子狛犬の類が大好きなので、マスコットキャラクター・レンジーに夢中に!


紅白の可愛らしい連獅子が見得を切り頭を振り回す様子に、ガッシリとハートを掴まれてしまった。
歌舞伎の要素から日本らしさをたっぷりと詰め込んだ、魅力たっぷりのキャラクターだったように思う。
(どうか今後も、ラグビー関連のなんらかでレンジーが存続されますように!)

2つ目

国内外の伝統文化が至る所で感じられカッコよかった点。


例えばレンジーも踊っていた「ハカ」…この度は惜しくも3位ながら、世界最強とされてきたニュージーランド・オールブラックスのパフォーマンスとして有名な、マオリ族の伝統舞踊。
戦いの前に手を叩き足を踏み鳴らして自らの力を誇示し相手を威嚇する舞踊で、ハカには「カ・マテ」「カパ・オ・パンゴ」2種類がある。


カマテカマテが「がんばってがんばって」に聞こえるということで日本では親しみを持たれているけれど(昔、CMでもありましたね、“がんばってがんばって仕~事♪”…歳がバレてしまうのかしら 笑)、実は「私は死ぬ」という意味…なんせ戦いの前だもの、壮絶感!
(ちなみに「カパ・オ・パンゴ」は特に強い相手だったり大切な試合の前で披露されるらしく、日本では今大会が記念すべき初披露だったそう。)

ハカ以外にも、トンガのシピタウ、フィジーのシビ、サモアのシヴァ・タウ
これらは主に南太平洋に住む部族で伝承されてきた伝統舞踊で、総称してBattle cry,War cry=鬨の声、戦闘の雄叫び…日本だと合戦前にホラ貝を吹くシーンね。えぃえぃおー。
今大会で日本のそれを彷彿とさせたのは和太鼓を打ち鳴らしての選手入場、闘志を煽る火柱。そして、歌舞伎のヤ声(いよ~ぉ~)でのキックなども。これらの演出が本当にカッコよかった!

3つ目

伝統芸能以外にも、沢山の歌があの激しいスポーツの世界に寄り添っていたのにも興味を引かれた。


国際試合のため国歌は当然歌うわけだけど…ホスト国としてのおもてなしで日本の子供たちが他国の国歌を覚え一緒に歌っていた件、とても嬉しかった。
台風被害後、そして日本悲願のベスト8入りとあって皆の想いが集まった黙祷君が代のシーンは私も貰い泣き。日本って君が代にいろんな感情を持っている国だから話題にするのが難しいとされている。それでもやっぱり、あぁ日本の国歌だなぁって、皆が想えたシーンだったかなと。
そして他国からの選手たちも同様に、国歌を歌い聞くことで家族を想い闘志を燃やしたのだろうと。
いろんな想いが集結する、静かで熱い感動のあるシーンだった。
ちなみに私は他国だと、個人的な曲調の好みとしてはスコットランドのナショナルアンセムがどこか神秘的で好きだったなぁ。

ほかにも日本代表チームソング「ビクトリーロード」で会場だけでなくSNSが賑わったり、米津玄師さんの「馬と鹿」、B’zの「兵、走る」、の「BRAVE」etc…皆さんの思い出の曲はどれかしら。
年齢国籍性別関係なく、ましてや音楽シーンじゃなくても沢山の歌が寄り添って賑わって。歌って凄いなぁと、改めて感じた。

4つ目

やはりラグビーそのものの素晴らしさ!


あの鍛錬された肉体・精神、技術。そして、あれだけ激しいぶつかり合いをするのに(いや、だからこそなんだろうな)とても紳士的。審判から丁寧にペナルティー内容が説明され、選手もそのジャッジに全く不満を表に出さず、むしろ頷きながら耳を傾け従う様子に只々感心!めちゃくちゃ紳士的でカッコいいなぁと。
ノーサイドの精神に多くの人が感銘を受け、まさに社会的に意義のある大会だったと感じる。
勝手な投影だけど、日頃から努力本番に対する集中の紡ぎ方、演奏と似てるなって。その世界レベルを目の当たりにして、自分も自分の領分で自分なりに頑張ろうと元気・勇気を貰ったのです…ありがとうございました!

…と、完全に趣味語りのようになってしまいましたが、こんな風にラグビーワールドカップの至る所に音楽伝統文化エンタメ要素非日常エキサイティング!が盛り込まれていたわけです。


そしてこれらに、実は皆さんが歌うときのヒントが沢山隠れているんです!
いいですか、次回後編は皆さんのヴォーカルレッスンですよ 笑
というわけで、後編もどうぞよしなに。

プロボーカリスト 佐倉知佳