ギター・ドラム・鍵盤・・・、声も楽器ですよね。

音楽は様々な音により成り立っています。

何人かでのアンサンブルはもちろんそうですが、ソロ演奏でも同じで、それは、一人で「アンサンブル」という音の会話をしている状態と言えます。

 『もっと上達したいなぁ…。』

この思いを前進させるカギは、もしかしたら他の楽器にあるかもしれませんよ!


今回は、そんな「上達のヒントは周囲に沢山あり!」なお話です。

◾️他の楽器の音を注意深く聴こう!

先述のとおり、音楽は様々な音が重なり絡み合い、ひとつのものになっています。

伸びる音・刻む音・それらの音色や音域やバランス・・・無音だって立派な要素のひとつです。複数の構成要素が音楽全体の「印象」を生みます。

そのそれぞれを、とにかく聴こうとアンテナを張ってみるのです。

そうすると、「何をすればもっと音楽全体が良くなるか」が感覚的に見えてきます。理屈は後からでオーケー。とにかく周りを聴いて感じることが上達道のスタートです!

◾️「聴く」を体感すると音楽力が上がります!


『周りの音7:3自分の音』

筆者はこの位をいつもイメージして演奏しています。 

この意識をもとにバンド内で互いに聴き合うことにより、音楽はひとつの形に向かっていくでしょう。

音程も、チューナーで計測するより違いに聴き合うほうが良い結果が得られます。

リズムも同じで、頭の中で数えるよりも聴き合ったほうが心地よいグルーヴが生まれます。


例えば音程。

誰かの「ド」と私の「ミ」。 

「ド」の人も「ミ」の人もチューナーを頼りにしていた場合、結果以前に、なんだか孤独ですよね…^_^; 

『あの人の「ド」と調和する「ミ」を私は出したい!』

と思えば、耳は「ド」に比重を置いた上で「ミ」を司れます。逆もしかり。

この時、ハーモニーの楽しさを“体感”出来るのです。

そして同じくリズム。

メトロノームのようにテンポがズレない演奏が目的ではないですよね。

ベースやドラム、コード楽器などがチームワークで作り出すグルーヴは、実際うねります。

最初と最後でテンポがかなり違う名演も世の中に多く存在します。

互いに聴きあえてこそのグルーヴ。この時、リズムの躍動感を“体感”出来るのです。

この“体感”こそが、音楽力を現場レベルで引き上げてくれます。

そのためにも、周りの音が自分によく聴こえている環境作りを常に意識すると良いでしょう。周りの音を根拠に、自分がどうあれば音楽全体がより良くなるかがリアルタイムで分かるようになりますよ。

メトロノームやチューナーは便利で良い道具なのでそれは上手に利用しながら、“聴く耳”でプレイすることを音楽仲間と共に進めていきましょう。

『周りの音7:3自分の音』

オススメいたします♪ 

◾️他の楽器から学べる多くのこと


フロント(ヴォーカルや管楽器などのソリスト)の人はいわゆる「メロディ」を受け持つポジションです。 

グルーヴやコードの動きを聴きつつ、メロディを具体的に動かしていくわけですね。 

バックがよく聴こえていれば、音楽は一体感を増します。(自分のイイところを見せてやろうと思いすぎるとバックの音に気持ちが向きにくくなります)

もっと言えば、バックのプレイヤーがしている事を深く知っていけば、更に表現力が磨かれます。 

イントロの流れ(リズムやハーモニー)にうまく乗って歌(メロディ)に入るのも、エンディングでバンドの動きをリードするのも、フロント的に重要ポイント。

これをうまく出来ると“みんなで創ってる感”がハンパないですからね。超大事。

そのためには、他の楽器の人との「音楽的会話能力」を磨くことに尽きるでしょう。

これをどう磨くか。例えば、ヴォーカルをもっとうまくなるためにピアノ教室に通う事例などをよく見聞きします。ピアニストがいつも現場で何をしてて何を伝えようとしているのかを肌で知ることはアンサンブルの上でとても意義があります。

また、コード進行について研究をしたドラマーが、音楽の流れをより察知できるようになり展開力がつき大きく成長した、という事例もよく見かけます。 

他の楽器から学ぶという事は、「いまどうあれば良いか」という感覚を磨く事に繋がります。 

あまり難しく考えすぎなくてもよいです。耳で“感じる”ことが大切ですし、それって、何より「楽しい」です。

◾️よい音楽家はアンサンブルを頭の中にイメージできています

「コンポーザー能力」、というと聞こえは大袈裟ですが、でもそういうことです。 

アレンジをするにも作曲をするにも、「どの楽器が何をするか」が折り重なっている状態が頭の中に必然的に生まれます。 

それが漠然としているよりかは、具体性を帯びているほうが良さそうですよね。 

描く音楽像を楽譜にしてみたりすることで、人に伝えイメージを共有できる度合いがアップします。

楽譜は書けなくても、リズムパターンやベースラインを歌って具体的に伝える、などでも意味は同じことです。 

イメージの中にあるアンサンブルを現場で共有することが出来ると、つまり“楽しい”のです♪ 

よい音楽家は、よく周りを聴ける上に、この「”楽しさ“を人に伝える能力」にも長けています。そしてそれを磨く努力が「好き」なのだと、筆者は常々感じています。 

沢山の楽器を扱うことができる「マルチっぷり」を持ったミュージシャンは、なぜそんなに色々できるのか。

音楽を研究するうちに結果的に色々できるようになった、という場合が多いのですが、音楽全体を俯瞰できているところにその根っこがあるのでしょう。 

さぁ!皆さんもぜひ、大好きな曲の中にある様々な音のひとつひとつに耳を傾けてみてください。

「一番と二番でドラムのパターンがちょっと違う!」とか、見つけられると絶対面白いし、そんな気付きから「コンポーザー能力」も高まったりしますよ!


プレイヤーはもちろん、リスナーとしてもこれは醍醐味かと思います。同じ曲でも新しい楽しみが浮き出てくるはず! 皆さんが音楽をより楽しむための何かのお力になれば嬉しいです! 


ジャズトランペッター 河村貴之